3. アポイ岳の花に迫る危機

サブテーマB:
アポイ岳の高山植物から自然環境を学び楽しむ

 アポイ岳の高山植物を象徴する花・ヒダカソウの絶滅危機と高山植物群落の急激な衰退。これが、アポイ岳の現状です。1990年代に最大化した盗掘によりヒダカソウは次々と姿を消し、大量盗掘で壊滅的なダメージを受けた幌満お花畑では、もうヒダカソウを見ることはできないかもしれません。その後、盗掘はほぼなくなりましたが、高山植物群落の衰退は止まりません。個体数の減少に加え、ハイマツやキタゴヨウがお花畑の中に入り込み、高山植物のすみかを奪っているためです。その原因として、地球温暖化や酸性雨、エゾシカによる採食などが考えられますが、まだ特定できていません。

植生の変化

1968年
2009年

 ヒダカソウの大量盗掘事件を契機に地元有志によって結成された「アポイ岳ファンクラブ(1997年設立)」では、希少植物の保護監視活動や子ども向け啓発活動、踏み荒らしを防ぐための登山道の整備などに精力的に取り組んでいます。2005(平成17)年にはファンクラブと研究者を主体とした「カムバック1952アポイ岳再生委員会」が発足し、お花畑の再生実験も始まっています。

盗掘防止パトロール

高山植物再生実験