1.北海道最初の人類は北方からやって来た

サブテーマC:
歴史から自然と人間社会の共生を学び楽しむ

1981(昭和56)年に行われた冬島遺跡の発掘調査

 現在、北海道で確認されている最も古い人類の足跡は、約2万2000年前の後期旧石器時代です。それは、地球規模の最後の氷河期で、大雪山や日高山脈は氷河や万年雪でおおわれていました。海水面は現在より約80~100m前後も低く、宗谷海峡は陸橋として北方大陸と陸続きとなっており、当時、北の厳しい氷河気候から逃れてきた動物を追って人類が北海道にやってきたと考えられています。

 約1万2000年前ころから世界的に気候が温暖化し、氷河期は終わりを告げます。日本各地ではこのころから縄文式土器を使用した狩猟・漁労・採集を基盤とした縄文文化がおこり、約1万年にわたり続きます。様似町(アポイ岳ジオパーク)でも、縄文後期(約3,000年前)ごろを中心とした遺跡が28か所確認されています。縄文時代は、現在より海水面が最大で約3m高く、当時の遺跡は現在の中位段丘や丘陵のふちに多く見つかっており、アポイ岳においてもその多くは海岸段丘や丘陵地に位置しています。

様似町埋蔵文化財包蔵地 S48.12.5:14ヵ所 S55.5.15:14ヵ所

 紀元前4世紀ごろに西日本に伝わり本州全域に広がった稲作農耕文化(弥生文化)は、寒冷な気候もあって津軽海峡を越えることはなく、北海道では紀元前1世紀ごろから6世紀末ころまで続縄文文化が続きました。狩猟・漁労といった縄文文化の要素を受けながらも、東北地方の弥生文化やサハリン・大陸の北方系文化などとの交流が芽生えた時代です。