4. 山と海が織りなす美しい景観

サブテーマA:
かんらん岩から大地の変動を学び楽しむ

 鋭角的な稜線のアポイ山塊とは対照的に、その西方にはなだらかな丘陵地帯が広がっており、そのコントラストがアポイ岳ジオパーク(様似町)の景観的特徴を表しています。丘陵地帯の地層は、約1億年前(中生代白亜紀)の海の底に積み重なった堆積岩(砂岩泥岩)で、地殻変動による地面の隆起や海水面の低下によって陸地となったものです。丘陵地帯からアポイ岳の山すそにかけての海岸線には、4段の海岸段丘※があり、その平らな面は特産物である日高昆布(ミツイシコンブ)を天日干しする干場(かんば)にも使われています。

 また、アポイ岳西方の海岸には、なだらかな丘陵とは明らかに趣の異なるいくつもの岩山が立ち並んでいます。これは、「ひん岩」と呼ばれる岩石で、地殻にできた割れ目に地下のマグマが入り込んで冷え固まった火成岩の一種です。まわりのやわらかい堆積岩層は長い間の浸食によって削られ、硬い火成岩のひん岩の一部が残り今の姿になったと考えられています。地殻の割れ目にマグマが入り込んできたのは、アポイ岳ができる少し前の約1770万年前(新生代新第三紀)で、これは太平洋プレートの沈み込みによる圧縮と考えられています。

  • 海岸段丘とは、かつて波打ち際で浸食された面が、地殻変動による隆起や海水面の低下などによって陸地化した段々の平ら地のこと。ここの4段の段丘のうち、高さ25~40mの面は約11万年前にできた洞爺カルデラによる火山灰に覆われていたと考えられることから、約12万年前の最終間氷期になぎさであった場所と考えられています。