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2012年06月15日

楽古山頂から見た雲海シャワー

我がオフィスから毎日眺める、日高山脈南部の脊梁。なかでもピラミッド型の端正な山が楽古岳。

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浦河町と広尾町の境の山ですが、アポイ岳にしか登ったことのないワタクシとしては、常々一度だけでも登っておきたいと、先日、スタッフとともに初登頂を果たしてきました。

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朝6時、様似から新富~メナシュンベツ川を車で遡ること約40分。登山口にある楽古山荘は、思いのほか小洒落た山小屋。ここに車を停めてスタートです。

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まずは最初にきれいに草刈された道を進むと…。

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最初に出くわしたのは、ヒグマさんの落し物。哺乳類専門家krmdさんの、「けっこうフレッシュだね。」のつぶやきに、背筋の辺りが…。

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ガイド役のSさんのクマ除け笛をたよりに、沢伝いに小一時間ほど進みます。

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途中には、こんな残雪がいくつもあって、山脈の深部に来ていることを実感します。

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そして、いつしか道は尾根をと向かう急坂となり、ひたすら登ります。初めてだけに先が分からずけっこうきつかったです。

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そうやって、ヒーコラ1時間半ほど悪戦苦闘すると、ようやく視界が開け、目指す楽古岳が見えました(右端ピーク)。でも、左側の「肩」と呼ばれる尾根まで、さらに急坂を約30分。すると…。

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こんなパノラマがお出迎え。この日までは天候が優れず、あまり展望は期待していなかったのですが、山脈脊梁から様似にかけてだけがこんな晴天という幸運。誰のおかげかしら?

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ここまで来れば、あとは尾根伝いに一直線。周りの景色を堪能しながら、ハイマツの絨毯を先に急ぎます。ここから見ると、まさにピラミッドという感じでしょ?

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そして、スタートから3時間45分。ついに楽古岳山頂に到着です。西側、すなわち様似側はこのとおりの快晴。写真では分かりづらいかもしれませんが、はっきりと様似の市街やエンルム岬、親子岩、観音山などを遠望できましたヨ(中央奥)。

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そして東側、すなわち十勝側はこのとおり一面の雲海。写真は日高山脈の脊梁を北に向かって眺めていて、一番手前の山が十勝岳です。写真はご紹介しませんが、十勝平野から襟裳まではすべてこの白絨毯に覆われていて、様似側の天気とのコントラストがすばらしかったです。

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また、足元の狭い山頂には、ミヤマキンバイが咲き誇り…。

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少し下ったところには、Tさんが見つけたイワウメが寄せ合って咲いていました。

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ところで、楽古岳を歩いていて、ワタクシには珍しかったのが、この白い石。花崗岩だと思うんですが、いつもアポイのかんらん岩を見ている自分にはすごく変わって見えたのです。花崗岩だけにところどころにお地蔵さんのような雰囲気の石もあったりして不思議な感じでした。

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サイコーの天気に恵まれた、初ラッコ。浦河の木彫家のHさん製作と思われる山頂看板。裏には、遊び心タップリの絵も彫られています。気になる方はぜひ一度トライしてご自分の目でご確認を…。(タク)

 

 

 

 

2012年06月12日

ジオパークジオツアー、第2弾も盛況でした②

さて、ジオツアー第2弾の2日目。いよいよ本番のアポイ登山ですが、気をもんだ天候も何とか持ってくれラッキー!7時過ぎにはお客様も徐々に集まりだしました。

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なにせ、スタッフを含めると40人以上の大所帯。トイレをすませていざ出発です。

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今回のガイド、アポイ岳ファンクラブの信太さんがまずご紹介するのは、登山口手前のインフォメーションボード。今咲いている花の写真が飾られています。

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1合目から山小屋のある5合目までは、こんな樹林帯を進みます。信太さんが登山道沿いに咲いている花の解説をところどころでしてくれました。山小屋までは約1時間半。

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山小屋から上は高山帯となっていて、馬の背と呼ばれている西尾根までが、もっとも勾配がきつい難所。みなさん、フ~フ~言いながら登っていきます。

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でも、花もここからが見どころです。まずは、エゾタカネニガナ。

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アポイヤマブキショウマ(固有変種)

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エゾシモツケ

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足下には、かわいらしい花。そして、7合目からは遠く様似の市街を横目に進みます。

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そして、馬の背下の斜面に。ここでは、この時期の主役がたくさん咲いていましたヨ。

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アポイクワガタ(固有品種)

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キタヨツバシオガマ

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そして、ようやく馬の背です。ここから小1時間かけて背後の山頂へトライ。

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馬の背から8合目までは尾根伝いになだらかな道。それにしても、なかなかの賑わいでしょ。様似のまちなかでもこんなに人が歩いていることはないですネ。この辺りも、たくさんの花たちが咲いています。

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チシマキンレイカ

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カメラ泣かせのアポイカラマツ(固有変種)

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9合目下からは、こんな素晴らしい眺望を楽しめます。

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そして、いよいよ9合目を超えて頂上はすぐそこ…。

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見事、全員がアポイ岳制覇です。初めての方もいて、かなり大変な道のりだったようですが、欠けることなく辿り着いて良かったです。これで、第2弾ツアーも無事終了。第3弾は、夏休み企画として様似の夏ならではの体験メニューを検討中です。近くチラシをアップしますので、請うご期待!(タク)

2012年06月11日

ジオパークジオツアー、第2弾も盛況でした①

5月のフットパスツアーに引き続く、アポイ岳ジオパークジオツアーの第2弾「花の山アポイと東蝦夷地の歴史に触れるツアー」が、40名以上の参加をいただくなか、無事終了。今日明日の2日間にわたりその模様をお伝えします。

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初日は、町内のジオサイトを巡るバスツアー。薄曇りの中、集合場所の観光案内所でまずはオリエンテーションです。

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バスに乗り込み、まず向かった先はいつものエンルム岬。風がなかったので、台場までの歩きも気持ち良かったですヨ。

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あいにく霧でアポイ山塊は望めませんでしたが、いつもの水野節で様似の歴史を解説。海に突き出たエンルム岬が天然の良港となったことが、様似の黎明となったのです。

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続いて、エンルムの麓にある、日高で一番古く一番小さな郷土資料館・様似郷土館へ…。国の重要文化財に指定されている等澍院古文書などの歴史資料を見てもらいました。

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そして、蝦夷三官寺の一つ・等澍院へ。本堂で、お抹茶をいただきながら、副住職からお寺の来歴をレクチャーしてもらいました。奥様、おもてなしありがとうございました。

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大久保唯行副住職が手にしているのは、百万遍念珠箱。古文書とともに国の重要文化財に指定されている一品です。

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等澍院の後は、13代住職・塚田純田が33体の観音様をまつった「観音山」へ。ちょうど、次の日が等澍院による年に一度の「お山かけ」ということで、観音様たちの周りもきれいに掃除されていました。

写真は、山上にあるカムイチャシ記念碑。昔、アイヌのチャシ(砦)があったことを記した碑の前で、羽立のじっちゃんによる飛び入りガイドです。

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さて、山を下りて幌満に向かう前には、大通の花蘂水産に立ち寄らさせていただきました。観光客の皆さんに様似の海の幸を見てもらいたくて、S社長にレクチャーをお願いしたのです。普段入ることのできない蓄養施設も見せていただきお客様も大満足。社長、ありがと~。

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その後は、冬島の穴岩…

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大正トンネル…

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和助地蔵尊と、日高耶馬渓の見どころを巡って初日を終了。本番となる翌日のアポイ登山に備え解散とさせていただきました。今回のツアーは、ジオ塾も兼ねていて、この日は半数が町内の方でしたが、登山は観光客の方がメイン。「問題は天気だ。」と、この時点でもはっきりしない予報に、スタッフ一同ヤキモキするのでした。(タク)

2012年06月06日

アポイ岳情報2012-05:6/5

3週間振りのアポイ岳情報、昨日の様子をお伝えします。

花のハイシーズンなのに随分間を空けてしまいすみません。

 

登山口から5合目山小屋までの間の森林内では、最近まで楽しませてくれたエゾオオサクラソウやスミレの仲間はすっかり姿を消し、その代わりに出迎えてくれたのは、

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このツマトリソウや

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ゴゼンタチバナといった清楚な感じの花でした。

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3合目と4合目の間では、シマリスがお出迎え。今は閉鎖されている新道との合流地点のすぐ下、木の階段がある辺りでは、こうして時々見ることができます。

5合目山小屋に着いてすぐ目につくのは、

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エゾタカネニガナ。針金のような細い茎が印象的。その他、馬の背までの間では、アポイアズマギクが満開終盤、ヒロハヘビノボラズが咲き始めていました。

そして、馬の背すぐ下のお花畑では、

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じゃじゃーん、アポイクワガタがまさに花盛りを迎えていました。見ごろが1週間ほどととても短いこの花ですが、今週土曜日は当推進協議会主催のアポイ岳登山ツアーがあります。参加されるお客さんにもぜひグッドコンディションで観てもらえるよう、それまで頑張るように強く言っておきましたよ。

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そして、同じお花畑ではキタヨツバシオガマもビシッと咲いていました。

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馬の背から8合目の間では、ミヤマハンショウヅルの開花宣言も出ました。

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さて、今日のアポイ岳は、ほぼ快晴のスッキリした天気で気温もぐんぐん上がり、昼前後は登山にはちょっとツライ25℃近くにまで達しました。Tシャツ1枚でも暑いのなんの。

一方、後ろを振り返ってみると…

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眼下に広がるはずの太平洋はすっぽりと霧の中。上写真中央、霧が一番右側まで入り込んでいる辺りが様似の市街地なのですが、全く見えません。こりゃ、町の中は相当寒いはず。フリースの上着を着てちょうど良いくらいかな。標高の高い山で汗だくになってるのに、平地でブルブルっていうのも変ですよね。

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そんな強い日差しの中、熱心に何かを調べているのは当スタッフのジオミです。何をしているかというと、枠の中にどんな植物がどれだけ咲いているかを記録しているのです。場所を固定し、毎年同じ場所で何年も何十年も記録していけば、アポイ岳の植物の変化が見えてくるという訳。彼女の専門は岩石学ですが、学芸員を目指す彼女はなんでも屋にならなければならないのです。彼女はこの日、植物の種類の判別に悩みながらも、自分の手によるモニタリングの第一歩を記したのでした。

(krmd)

2012年06月01日

アポイに登って缶バッジをゲットしよう!

このblogでも何度かお伝えしてきたように、アポイ岳の高山植物に対するエゾシカの影響を調べるため、昨年の秋から囲い柵を設置していますが、今週、その後の追跡調査を行ってきました。

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調査をしてくれたのは、北海学園大学のsato教授と、酪農学園大学の学生isakaさんとsugiuraくん。左端は初の植生調査体験中のスタッフ「ジオミ」ちゃんです。

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この柵はほとんどの植物が枯れている初冬に設置したため、どんな植物を柵で囲んだかこれまで分からなかったのですが、結構な数の希少植物が柵内に生育していることが確認でき、一安心です。

一方、柵の周りを見ると・・・

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右のアポイアズマギクの茎の先がないのはシカが食べたため。

さらには、

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カマヤリソウや、

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アポイ岳の固有種エゾコウゾリナの葉っぱにも食べられた跡がくっきりと。

このように、シカは確実にアポイ岳の高山植物を餌として利用しているようです。今回の調査だけでは、まだシカによる採食が植物にどんな影響を及ぼしているのかまでは分かりませんが、柵の中と外の状況をずっと観察し続けていくことで答えが見えてくるはずです。

 

さて、ここでお知らせとお願いです。

現在、アポイ岳では、この山のトイレのあり方などを考えるため、登山者を対象とするアンケート調査を実施中です。

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アンケート用紙は登山口にあるビジターセンターと少し先に進んだ入林届出所(上写真)の2ヶ所に置いてあります。

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ビジターセンター内でアンケートに協力してくれた方又は記入後のアンケート用紙をビジターセンターに持ってきてくれた方には、写真のオリジナル缶バッジをプレゼントしています(9時~17時のビジターセンター開館時間内のみ)。今後、アポイ岳に登られる登山者のみなさん、アンケートに答えてぜひこの缶バッジをゲットしてください。ただし、アンケートは、実際にアポイ岳に登ってきた方のみを対象としています。山に登らずにアンケートに答えていただくことはできませんのでご注意を。

(krmd)

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