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2011年09月12日

観音山の自然を取り戻せ!

2日前の9月10日、アポイ岳ジオパークのジオサイトの1つ観音山で外来種オオハンゴンソウの駆除作戦が行われました。

ハンゴンソウアップ.jpg

この黄色い花がオオハンゴンソウ

オオハンゴンソウは北米原産ですが、明治時代に園芸用として持ち込まれたものが野外に広がり、現在では本州中部以北を中心に広がっています。ここ様似町も例外ではなく、この時期、あちらこちらで一面の黄色いお花畑が広がっているのを目にすることができますが、そのほとんどがこのオオハンゴンソウの大群落です。

 

ただ生育するだけならそう大きな問題ではないのですが、このオオハンゴンソウ、豊かな自然が残っているようなところにも好んで侵入し、もともと生育していた他の植物たち(在来種)を追いやってしまうという、とても困ったヤツなのです。

 

オオハンゴンソウには罪はありませんが、人間が持ち込んでしまった以上、人間が責任を持って対処しなければということで、今回、貴重な自然が残る観音山での駆除作戦とあいなった訳です。この作戦、日高信用金庫創立90周年記念事業地域ボランティア活動の一環として、同信金様似支店の主催、アポイ岳ファンクラブの協力で実施されたものです。

 

ハンゴンソウ繁茂.jpg

これが駆除前の観音山の状況(ごく一部)。画面いっぱいオオハンゴンソウ。

 

ハンゴンソウ抜く1.jpg

当日は30名ほどが参加、みなさん次々と抜き取っていきます。

 

ハンゴンソウ抜く2.jpg

信金の女性陣も奮闘中。

 

ハンゴンソウ運搬.jpg

抜いたオオハンゴンソウはまとめて運び出します。この一抱えだけで100本はあるでしょう。

 

駆除後.jpg

作業開始から約1時間後、このとおりオオハンゴンソウはすっかり姿を消しました。

これで一件落着? 残念ながら答えはノー。というのも、このオオハンゴンソウ、抜くときにたった数グラムでも根がちぎれて残ってしまうと、そこからクローン再生し、いつかまた花を咲かせてしまうという恐ろしい植物なのです。さらには、この地面の下には莫大な数の種が眠ったままでもあります。そのためオオハンゴンソウの駆除は、最低3年間は継続しなければ効果はないと言われています。

 

ハンゴンソウ集合.jpg

この日の成果は、軽トラックてんこ盛り一杯分。でも、観音山の貴重な自然を取り戻すための闘いは今始まったばかり。みなさん、大変ご苦労さまでした。そして来年、再来年もがんばりましょう!

(krmd)

2011年09月10日

金に石灰石にアルミ箔、時間オーバーで...

今日は、ふるさとジオ塾の第6回講座。バスでジオサイトや工場をまわりました。まず、訪れたのは、様似小学校裏の崖。アポイ岳ジオパークのジオサイトにはしていないのですが、様似町市街にひろがる白亜紀の堆積岩を観察できる場所として、ジオ塾講師の島田先生(静内小学校教諭)に紹介いただきました。

様小裏の崖.jpg

岩相は砂岩で、海の底で堆積した層理がここでは直立して現れています。様似町の西半分はこうした白亜紀の堆積岩で構成されていますが、それを目の当たりにする場所はなかなかないので、ぜひ看板を立ててジオサイトに加えては、との島田先生の弁。白亜紀の堆積岩-それを貫くひん岩の奇岩-付加体を特徴づけるメランジュ-そしてかんらん岩に代表される日高変成岩と、多彩なジオサイトで地球の壮大な営みを実感できるアポイ岳ジオパークなのです。(私はまだまだ理解不足ですが…)

次に一行が向かったのは、浦河町の境界に程近い山の中…。

東金山精錬所跡1.jpg

10日ほど前のこのブログでもご紹介した、「東金山鉱山跡」。江戸初期の文献にも登場する北海道でも歴史ある金鉱山なのです。ガイドは、郷土史に詳しい羽立のじっちゃん。いつも名調子で400年前へタイムスリップです。

東金山精錬所跡2.jpg

本当なら、鉱山穴まで行きたかったのですが、バスでは近づくことはできないため、精錬所があった下の場所で解説してもらいました。「え~、穴見れないの~。」というお声もありましたが、ゴメンナサイ。楽しみはまた次の機会にということで…。

そして、3ヶ所目は浦河町上杵臼にある「ムコロベツ石灰石鉱山」。浦河石灰工業さんの計らいで、採石現場の上まで上がらせてもらいました。

ムコロベツ鉱山からの眺め.jpg

高品位の石灰石を算出する同鉱山。様似と浦河にまたがるこの辺りには、メランジュと呼ばれる産状でいくつかの石灰岩が分布しているのです。この日は、浦河石灰工業の吉田さんと砂子沢さんにご案内いただきました。

ムコロベツ鉱山の採石.jpg

石灰石はセメントなどに使われますが、ここのものは品位がよく、飼料用として製品出荷されています。それにしても、ここから眺める日高山脈と上杵臼開拓地に広がる河岸段丘の景色は最高!。塾生もみなさんも大喜びです。

島田先生.jpg

石灰岩の成りたちや地形を解説する島田先生の声にも力がこもります。

そして、最後は様似市街に戻っての工場見学。

エレクトロン工場正面.jpg

電気機器のほぼすべてに使われる「アルミ電解コンデンサ」の根本である「アルミニウム電極箔」の酸化被膜処理を行っている「日高エレクトロン」さん。町内(幌満)に水力発電所を持つ日本電工㈱と、コンデンサシェア世界トップクラスの日本ケミコン㈱の合弁会社です。

エレクトロン会議室.jpg

本来はお休みのところ、責任者の堀さんら3人の社員さんにご案内いただきました。まず、工場見学の前に堀さんから会社概要や製品について説明を受けました。

エレクトロン裏側.jpg

その後、工場内部を見学させていただいたのですが、残念ながら内部は撮影禁止。アルミ箔の被膜には大量の水と電気を必要とします。水は様似川から直接取水し、電気は日本電工の幌満水力発電所と北電から供給しています。この工場で使用する電力は、ナント様似とえりもの2つの町の使用電力以上の15000kw。だからこそ、できるだけ安い電力を求めてここに工場を立地したというわけです。

エレクトロン排気ダクト.jpg

毎日、白い煙のようなものが見えるのは、この工場からの水蒸気。熱交換によって熱せられた水がここから蒸気となって出されているのです。熱せられた水の温度は60~70度。ただ、捨てるだけじゃもったいない。何かこの熱水を再利用するうまい手はなりませんかネ。

さて、こんなかんなで見所満載の今日のジオ塾。結果、1時間近く時間オーバーの午後1時前にようやく終了となりました。このおかげで、昼食もそこそこに、われわれスタッフやアポイ岳ファンクラブのメンバーらは次の任務地に移動…。その話はまた次回にkrmdさんかhoromanさんより紹介してもらいマス。(タク)

2011年09月08日

○○は茶色がお好き?

まずは下の2枚の写真をご覧ください。
正常711.jpg

正常セイコマ.jpg

どちらも見慣れたコンビニですよね。上が全国大手のセブンイレブン、下は北海道民におなじみのセイコーマートです。2つとも様似町にあるお店で、私もよくお世話になっています。

では、こちらはどうでしょう?

茶色711.jpg

茶色セイコマ.jpg

どちらも上と同じチェーン店なのに、カラフルなはずのロゴマークやラインは全て茶色一色…。経費節約? 色が褪せた? 実はニセモノ?

いえいえ、この茶色のコンビニ、2件とも先日行ってきた層雲峡温泉付近で見つけた本物のコンビニです。層雲峡の周辺は大雪山国立公園に含まれていますが、国立公園には各種規制の厳しい地域があって、そうした地域では景観保護のため建物や看板などを目立たない色彩にするよう法律で求められることがあります。お店に聞いたわけではないので推測ですが、これらのコンビニもそのためにいつものデザインを使えなかったのでしょう。もしくは景観に配慮して、自主的にそのようにしたのかも。

 

じつはこの話、我がアポイ岳ジオパークとも無関係ではないのです。

正常サイン1.jpg 正常サイン2.jpg

アポイ岳ジオパークでは、各ジオサイト(見どころ)に案内看板(サイトサイン)を設置していますが、多くは上の写真のように、青を基調としたデザインで統一しています。しかし、アポイ岳の周辺は日高山脈襟裳国定公園に指定されていますので、特に登山道付近のサイトサインについて、とある監督官庁から「青はダメッ!」と言われてしまい、泣く泣く色調を変えざるを得ませんでした。

 

茶色サイン1.jpg 茶色サイン2.jpg

そうして立てたのがこれらの看板。層雲峡のコンビニ同様、監督官庁が大好きな「茶色」になったというわけです。できれば青でビシッと統一したかったところですが、景観に配慮するのもジオパークの務めとあらば致し方ありません。

アポイ岳ジオパークのサイトサインの色彩が統一されていないことのウラには、こんな事情もあったのです。
(krmd)

2011年09月07日

台風去って、いよいよアキアジ定置網スタート

台風12号の影響で、網入れが遅れていた秋サケ定置網漁がようやくスタート。今朝、様似漁港での初水揚げの様子を見に行ってきました。

サケかねとう選別1.jpg

7時半ごろに戻ってきたのは、かねとう漁業部の日蓮丸。船員さん達が手早く選別していきます。

サケかねとう選別2.jpg

台風の影響で、昨日網入れしてすぐの漁だったため、かなりさみしい初水揚げでした。親方に聞くと、「それにしても悪いね。」とのこと。

そうこう言っているうちに、反対側の岸壁に久野漁業の天幸丸が到着。


サケ久野水揚1.jpg

こちらも初水揚げは予想通りの結果となってしまいました。

サケ久野水揚2.jpg

でも、まずはスタートできたと、開き直るしかないでしょうかネ。

定置網漁のブリ.jpg

揚がった魚のなかには、けっこうブリが入っていましたヨ。かねとうさんでは船上の活〆で出荷です。

定置網漁のアキアジ.jpg

もちろん、アキアジくんもこのとおり。銀色に輝く魚体はやっぱり美しい…。イヤ、旨そう…。 

水揚げ後の日蓮丸.jpg

水温が高いためなのか、今年の秋サケ漁は不漁が予想されていますが、様似でも今日沖網を設置後、3日間自主休漁にするとのことで、再スタートは11日(日)から…。白銀が船倉いっぱいとなるよう期待したいところです。(タク)

2011年09月06日

とかちへ。様似の海の幸を!

 前日の雨が残る日高を後にして、行ってきました帯広市へ。

 9月3、4日の二日間、帯広駅北側で「とかちマルシェ」と銘打たれた

青空市場が開かれました。このイベントは帯広商工会議所が創立90周年

を記念して、先人が培った食の王国「とかち」をアピールすることを

目的として行われ、メインはもちろん十勝管内市町村のご当地グルメ

ですが、それだけではなく私たち日高東部にもお誘いがかかりました。

JR高架下web.jpg

(上方に帯広駅高架が見える。北口を出るとそこは十勝の食のパラダイス。) 

せっかく十勝に行くのだから、様似から海の幸を持って行こう!と

様似代表の物産を選りすぐって持って行きました。

「鮭の山漬け」「つぶ弁当」「タコまんまのかまぼこ」

「鮭醤」「アポイのまむ酢」など。そして商工会青年部のオリジナル

商品「たこ天はっぴー」。たこ天はっぴーとは様似産のタコ、

コンブを使ったタコ焼き風の天ぷらかまぼこで、ピリッとくる

生姜がアクセント。試食を進めれば「あら、これおいしいわ」と

関西人風のご婦人(豹柄のスパッツをはいていたので)に人気。おやつに

良し、おかずに良し、鍋の具にも良し、また蒸しても、油で揚げても楽しめます。

部長に言わせるとまだまだ美味しくなる余地はある、とのこと。これからが楽しみの

商品です。昨年の「さまに秋の味覚まつり・北海道大凧まつり」

でも好評を博したので、今年の出店も期待されてます。

部長がんばるweb.jpg

 (「試食どうぞ!」と絶妙のタイミングでたこ天を差し出す商工会青年部長。お客さんは

ついつい手を出し、買ってしまう…)

ただ失敗もあり。様似では当たり前に知られている「山漬け」

や「タコまんまのかまぼこ」は知ってる人が少なく、これ何?

と聞かれることが多く、商品説明書の必要性を感じるのでした。

 座って食べるweb.jpg

(風が強かったものの、晴天に恵まれた十勝。お客さんは特設ステージ前でクイズに参加しながら食を楽しむ)

さて、今まで観光PRと言えば札幌圏ばかりに目が行きがち

でしたが、十勝は人口といい、産業構造といい十分魅力的な

マーケットです。山の幸、海の幸のお互いに無いものを

補って、両者の食文化が豊かになればなあ、と願うのでした。

(302)

  

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