1. 火星より遠いマントルが見えるアポイ岳

サブテーマA:
かんらん岩から大地の変動を学び楽しむ

 地球の構造は、よくゆで卵に例えられます。外側のカラの部分が「地殻」、その内側の白身の部分が「マントル」、一番真ん中の黄身の部分が「核」です。地殻は、数㎞~数十㎞の厚さがありますが、地球の大きさからみればゆで卵のカラのように薄い岩石の層です。しかし、人類は、地球から何千万㎞も離れた火星に探査機を送り込むほどの科学力を身に着けているにもかかわらず、いまだにこの薄い層を掘り進めてその下のマントルを実際に手にしたことはありません。つまり、わずか数十㎞下のマントルの世界は、人類にとって火星よりも遠い未知の世界なのです。

 ところが、その未知の世界を、実際に見て触れて感じることのできるのが「アポイ岳」なのです。アポイ岳は、その全体が「かんらん岩」でできていますが、これはマントルの上部をつくっている岩石のこと。地下深くのマントルが地球規模の変動によって地表に現れアポイ岳を形づくったと考えられています。アポイ岳は、地球内部の様子を知ることのできる貴重な地質遺産であり、億万年の壮大な地球の営みを感じることのできる場所なのです。